■【障がい者(障害者)就職・採用・転職ノウハウ】
第32回「就職・転職ケーススタディ 事例-19『わがままを言えばきりがない?第一希望の条件は…』」
久しぶりに、一般的な事例をご紹介するケーススタディです。
今回は、自宅から会社までの通勤時間・距離の条件として"電車通勤の乗り換えは1回まで"という希望を出しているけど、本心を言えば0回が良いなぁ…でもそこまで求めるのは"わがまま"なのかなぁ…というお話です。
■Uさんの事例
■ 年齢/性別: 50代・女性
■ 在 住 : 東京都
■ 障 害 : 両下肢障害 3級
■ 業界/職種 : 不動産・本社管理部
■自骨?人工骨?Uさんの選んだ治療方法
Uさんは、左右の両股関節に人工関節の置換手術を続けて受け、50代にして初めて障害者手帳の3級を取得した女性です。30代の頃、お子様の運動会の綱引きで痛みを感じてから20年弱、痛み止めの薬を服用しながら家事・仕事を続けていました。
30代後半にさしかかった頃、主治医から「今なら自分の骨を利用した手術治療がありますよ」というアドバイスもありましたが、「その自骨手術が永久に持つ訳ではないなら、もう少し痛みを我慢しよう」と考えました。Uさんだけでなく、人工骨・関節の置換手術をされた複数の方々からも、同じような話を聞いたことがあります。
世間一般の数値とは違うかもしれませんが、アンプティパに登録している股関節障害の方々の中で、自分の骨を利用した手術を受けられた人は少数です。一般的に自骨置換が可能だとされる年齢の頃はちょうど仕事も忙しい時期なため、40代後半~50代に人工骨の置換手術を受ける方や、自骨手術の後、結局もう1回人工骨の手術が必要になり2回も痛い思いをするのはイヤだ…と考える方など理由は様々です。Uさんも50代まで我慢をして左右の人工骨置換手術を1年のうちに続けて行われました。
Uさんはお子様が預けられる年齢になった30代に初めて働き始めました。最初の勤務は銀行でのパート事務職でした。フルタイム勤務できるようになった翌年からは、派遣社員として生命保険会社の営業本部で数年勤務。そこで事務処理・PCスキルを磨き、営業アシスト・グループセクレタリーとして幅広く業務を任され、組織改革で本部が解散するまで継続して勤務しました。
その後は足の痛みを考慮して、自宅近くの小さなパソコン教室で、事務から講師まで一人で複数の業務をこなしていましたが、受講者が少なく仕事の量も少なかったため、地元の派遣会社に登録しました。都心の会社で9時開始の勤務(1時間半の通勤)を数年継続し、50代になって1年契約の派遣業務をほぼ済ませたところで、右股関節の人工骨置換手術を受けました。その後、有給消化・期間満了を迎えた直後に、右に続けて左側の置換手術を実施し、約半年のリハビリを経て弊社に登録しました。
■"人柄"と"スキル"で内定までとんとん拍子!
30代後半から40代、そして50歳になっても、派遣の仕事をブランクなく続けてこられたのは、派遣会社だけでなく派遣先企業においてもUさんの人柄や事務スキルなどが高く評価されたからでしょう。初めてUさんと挨拶した時、そう感じたのは私だけではなかったようで、弊社の全営業メンバーによる「自分の担当企業に推薦するためのUさん争奪戦(というと大げさですが、社内では日常的な光景)」が勃発したほどです(笑)。
Uさんのような複数の企業から内定を取り得る方の紹介をする時、弊社では何に注意し、どうしているか?と言うと…まず、希望条件をもとに、弊社から推薦する企業の優先順位を本人と一緒に考え、本命=第一希望は何をもって決めるのかを確認します(月給・年収なのか?業務内容なのか?勤務場所・通勤距離か?)。そして3社から多くても5・6社程度の同時進行となるようにします。
本命企業の内定が取れれば、第二・第三希望の会社に選考をしてもらう必要はありません。
本命企業の合格見込みが高いならば、万一に備えて、あと1社、2社程度の追加推薦を行い、本命の進捗を見守る訳ですが、Uさんは初めての障害者採用への応募ということで、自身の障害とキャリアが企業ニーズに対してどの程度の市場価値があるのか?下肢障害に対する配慮はどの程度されるものなのか?がよく分からないことと、"50代での転職"という条件に対する一般的な感覚などから、あまりわがままは言われませんでした。
「事務の仕事で月給20万円を超えるならば、電車の乗り換えが1回程度あっても、通勤1時間程度ならありがたい」これがUさんの出した条件でした。
求人企業と求職者の出会いは、採用条件やご本人の経験・スキルのマッチングだけでなく、タイミングの問題も重要です。Uさんが登録に来社した際には、ちょうどタイミングよくUさんのような人材を求めている企業があり、Uさんの希望条件から外れるところも無く、とんとん拍子で書類選考~1次面接~最終面接が進み、動き始めて1ヶ月以内で内定が見えてきたA社がありました。Uさんの自宅からは、電車で1回乗り換え・通勤時間約1時間程度の場所にあるA社は「ぜひUさんに入社していただきたい!」と、短期間で選考を済ませ雇用条件を明示し、通勤のラッシュを避けたいのであれは勤務時間を9時からでなく10時からに変更も可能との融通も利かせてくれました。月給・賞与もUさんの希望を満たしており本人だけでなく弊社の営業メンバーも、ほぼこれで決まりかな?と思っていました。
■本命からの内定後、さらに良い条件の会社が・・・さて、どうする?
ところが、「そういえば、Uさんの住所なら近くに別の会社もあるのでは?」と、その時点では採用活動を停止してる会社…B社を思い出しました。健常者なら自転車で20分ぐらい、電車を利用してもUさんの自宅からだと2駅・6分の距離でトータル30分以内の通勤です。既に選考が進んでいたA社から、まさに内定が出たタイミングで、雇用条件が近いうちに明示される予定という時期。「こんな段階になってから気付くのでは無く、もっと早く言ってくれよ…」と、A社担当営業は思ったはずですが、そもそもB社が「今は採用選考をしない」と言えば、Uさんにお伝えする必要のない話しです。まずは、その重要ポイントである"B社は今、採用選考をするか?"を直ちに確認することになりました。
B社からの回答は、「良い人材なら、ぜひ選考したい!」でした。早速Uさんにもお話をしたところ、「そこなら近いので、この先長く勤めることを考えると大変助かります。でも、A社の内定はどの程度待っていただけるものなのでしょうか?そもそもB社に合格するかも分からないし…」とのことだったので、A社はいつまで待ってくれるか?の確認と、急遽Uさんの本命争いに登場したB社とA社の比較検討…もし、仮にB社から内定が出たならば、月給・賞与がいくらだったら、どっちを選ぶか等を、UさんとA社・B社それぞれの担当営業とで話し合い、B社には大至急面接を実施してもらうことになりました。
A社の立場から考えると、これはある意味"後だしジャンケン"のようなもの。複数の企業から内定を取り得るUさんに内定を出した後で、雇用条件では調整できない通勤距離の近さを武器に、A社の提示条件を見ながらUさんがB社を選びやすくする条件を出すことだってできます。A社 vs B社の競争は圧倒的にB社有利で、今回のケースでも結論から言うとUさんはB社の内定を受諾されました。
■本音の条件、幅を持たせた条件、エージェントにはどちらも伝える
B社の入社手続きのお話をしているときに、Uさんが「50歳を過ぎたら選択の余地など無いものと思っていたし、わがままを言ってはいけないとも思って、できるだけ通勤時間は短い方が良い…と思いながらも、妥当なところで"通勤は1時間程度"という希望にしていました。結果的には複数の内定が出て、家に近い会社を選ぶことができ、正直びっくりしています。障害者手帳を取得したけど、今は痛みも無くなり、障害者手帳を取得する前よりも体調は良好なので60歳どころか65歳でも、働かせていただける限り長くがんばります!」とおっしゃっていました。
通勤の希望が1時間以内で乗り換えも1回までというような条件を希望する方は多いのですが、本音では乗り換え無しで通勤時間は短い方が良いのが普通ですよね。下肢障害のUさんが登録された最初の時点で、彼女の自宅近くの会社を調べるのは紹介エージェントの基本です。最初からB社に気づいていれば、A社の方々とUさんに結果的に無駄な時間を費やすことを防げたはずと、反省しております。
けれども、いくら近くの会社を希望したいと思っても、極端な例ですが"自宅より10分以内!"なんていう条件を出してしまうと、そもそも該当する会社が少なくなり応募先も無い…だから本音とは別に、就職が成功する可能性を高めるために、幅を持たせた条件を述べることになると思います。でも、エージェントに希望をおっしゃる時に遠慮は不要です。今回は通勤の距離・時間のお話でしたが、就職希望条件を伝える際は、本音の部分と、多少条件を緩和した幅の部分、その両方をハッキリと示していただくのが、効率の良い就職活動につながると思います。
幅を持たせた、緩和した条件で希望を言ったのに「申し訳ございません、現在紹介できるご希望にマッチした求人案件がございません。」ばかりじゃないか!とおっしゃる方もおられるでしょうか? 申し訳ございません!それは、ひとえに私どもの営業努力不足が原因です。言い訳を続けるまえに、今から営業に行ってきます! 。
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