■【障がい者(障害者)就職・採用・転職ノウハウ】
第11回「脳性麻痺による障害の方の就職・転職」
今回は脳性麻痺の中でも、脳卒中や心筋梗塞などの病気に伴う後天性の脳性麻痺で、右半身あるいは左半身に麻痺がある方々の就職についてお話します。
◆求職者に多いケース
このケースで私どもがお会いする求職者の大半は40代~60代、そして、もちろん女性もいらっしゃいますが男性の方が多くを占めます。三大成人病(最近は生活習慣病というのでしょうか?)といわれる、ガン・心臓病・脳卒中の中で、心臓もしくは脳の病気が原因で働き盛りに発症し、病気は治ったけど麻痺が残った、でも家族を養うためや自分自身のために社会復帰したい!・・・といったような世帯主の方が特に多いようです。
働き盛りの元気な時には年収が高い方も多く、中には1千万円を超えていたような方もいらっしゃるのですが、障害の程度(麻痺の重さ)によっては、復職が困難な方(仕事をすること自体が困難な方)から、倒れる前の仕事に復帰できる方まで様々なケースがあります。
「麻痺がありながら、どのような仕事に復職できるか?」をポジティブに言えば「何ができるか?」であり、逆の言い方をすれば、辛いお話ですが「何ができなくなったか?」ということになります。言い方の問題はさておいて、私ども人材紹介エージェントの立場では、まずご本人が“どんな仕事を希望されるのか?”“必要な収入はいくらか?”“どこまで通勤できるか?”などの希望を伺うことと、それをかなえることができるのかどうかを確認する意味で、障害の程度を業務上の観点からチェックさせていただいています。
ここで、「業務上の観点から障害の程度を確認する」際のポイントをお話したいと思います。
◆通勤・移動についての確認
まず 「通勤」についてです。
公共交通機関を一人で利用して毎日通勤できるか?
自家用車での通勤を希望するのか?
在宅勤務のみ可能なのか?
後者になるほど求人数が減少し、希望条件を網羅しての就職が難しくなります。乗降客の多い駅での乗り換えや満員電車を避けることができれば・・・などの条件次第で一人でも通勤可能ということであれば、比較的多くの企業が通勤時間を遅くすることなどの配慮はしていただけるので、相談は可能です。
通勤についての確認は、同時に 「社内での移動」に関する確認にもなります。例えば、自家用車での通勤を希望する場合、車通勤が可能な事業所となると、郊外の工場・物流センター兼事務所ということが比較的多く、エレベーターがない2階が事務所で1階は工場・倉庫という職場環境になる可能性が高くなります。
一方、都心の会社なら建物内にはエレベーターが完備されていたとしても、通勤途中に階段があることが多い…など、いずれにしても「階段の昇降がどの程度可能か?」がポイントになってきます。毎日の通勤と日常業務で使用するルート、その途上にある階段・段差を使っての勤務を継続することができるか?長期的な視点でご本人に伺います。
◆制服着用の可否についての確認
次に、 「制服への着替え」が必要なケースがあります。
少し余談になりますが、ある自動車部品メーカーで私が担当したケースをお話します。その企業は制服を社外に持ち出すことが厳禁で、男性は上着とズボンの制服をロッカールームで着替えてから仕事を始めることになっていました。この会社に右上下肢に麻痺がある身体障害2級の男性が内定したのですが、ズボンを一人ではきかえることが困難で、彼だけ特別に自宅から制服の着用を承認できないものか、人事と相談をしました。けれど、会社側にもご事情があるようで、特別扱いは許されませんでした。
しかしながら、入社前に何度か通勤の予行練習をさせていただき、ロッカールームにその男性用の小さなイスを置くことと、ズボンにサスペンダーを縫い付けることで、時間は掛かっても一人で着替えることができるようになりました。サスペンダーは奥様が縫い付けてくださったとのことでした。私たち人材紹介エージェントは「障害がある方々のために」という理由で、企業に対して特別扱いをリクエストすることが多いのですが、障害があるご本人の意志と努力に加えて、ご家族のサポートと工夫次第では、特別扱いを受けることなく周りの人と同じ条件で働くことができ、そのことでご本人が苦労をされても、働く喜びの満足度合いが高いことがあると気付いたケースでした。
◆業務・作業の可能範囲についての確認
就職イメージ2さて話を元に戻します。毎日の通勤と制服の着用をクリアし、自分の席に着いたら、いよいよ仕事の開始です。今度は 「上肢の動き」の確認です。腕や手・指の動き次第で仕事の適性範囲が見えてきます。左右両手の指先までゆっくりでも動く方は、作業系の仕事でも事務系でも対応範囲は広いです。しかし、片手の指が動かない場合など作業系は困難なため、事務の仕事を探すことが多いのが現状です。動く方の片手指でPC操作や筆記が可能な場合はスピードを要求されないデスクワークなど…例えば定型入力作業の仕事や、オフィス内の軽作業・社内便・郵便の仕分け配布業務などが可能になります。
また仕事をする上では、覚える・読む・書く・計算する・話す等、頭脳を使うことは必須です。脳性麻痺の方の場合、上肢・下肢などの運動機能の障害だけでなく、頭脳を使う機能に部分的な障害が発生している場合があります。“漢字は読めるけど書けない”“足し算はできるけど掛け算ができない”“長い文章は読むのが辛くて上手く言葉で伝えられない”“複数の指示を受けると全部はできないことがある”…などです。こうした 「業務に必要な作業の可否」についても事前に確認させていただいています。
私どもの会社に登録をされる障害がある求職者の皆さんには、簡単なテストを受けていただいております。これは冒頭で申し上げた、業務上の観点で障害の程度を確認するために行っているテストで、漢字の読み書き、四則計算や文章問題などです。しかし簡単なテストだけに、その結果だけで業務適性を明確にすることはできません。特に記憶力や理解力に何らかの障害があるのか等は、ご本人でも気付いていない場合もあります。
◆「不安」を取り除き就職を成功させるための第一歩
でも、もしご自身が気付かれていて、外見では分からない「不安」があれば、ぜひとも私ども人材紹介エージェントには教えてください。以前、私どもがその「不安」に気付かずお仕事を紹介し、就職した方がいました。その方は、脳梗塞で倒れる前は財務会計の専門家としてバリバリ働いており、脳性麻痺による半身麻痺の障害があっても、税務関連の知識と経験を評価されて採用されました。しかし、3ヵ月の試用期間で契約終了となりました。会社側のお話では、本社と関連会社の複数の帳簿を見て、税務申告書類に記入されている数字のチェック作業だけを当初の業務としてお願いしたのだが、それが正確にこなせていないようだったので本人に「何が問題か?」確認したそうです。すると「数字をたくさん見ると何をしたら良いか分からなくなる」との答えが返ってきたため、会社が望む仕事ができないことにより、双方合意のもと退職することになったのでした。
「以前はできていたことが現在はできなくなっていること」が、第三者でも見た目で判断できるなら、それが原因による業務上のミスマッチなど発生しません。しかし、やってみないと分からないけど、ひょっとしたらできないかも?という「不安」は、それが杞憂に過ぎなければラッキーなのですが、不幸にもその不安が的中したら、代わりの業務がない場合は離職せざるを得なくなってしまいます。でも、就職活動の過程で私どもがその不安を把握していれば、求人企業に対して「この方は、○○業務の候補として紹介しますが、障害者となって初めての復職なので、最初は簡単な業務から始めて習熟度を見ながら、仕事の拡大・レベルUPをお願いできますか?」と事前に相談を持ちかけることが可能になるのです。
就職活動において「私は、その仕事ができるか不安なのですが・・・」ということは、できれば避けたい、というのが本音だと思います。そのお気持ちを察して、こちらから上手にお伺いできれば良いのですが、まだまだ私どものスキルもそのレベルに至っておりません。レベル向上のための努力は日々しておりますが、求人企業でなく仲介者である私どもには、障害についてだけでなく、些細な「不安」でも遠慮なくご相談いただければと思っています。
脳性麻痺の方の場合、他の病気がなければ、障害そのものは安定している場合が多く、働き始めて仕事にある程度慣れてくると長期的に就業されるケースが多いです。だからこそ最初が肝心であり、働く前の就職活動の際には、ご自身のできること・できないこと・不安なことを整理しておき、採用選考をしてくださる会社側に正しく理解していただくことが重要です。ご自身の口から企業へ上手に言えないときは、私どもエージェントへの相談を、ぜひご検討ください。それが就職成功への道の第一歩になるはずです。
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