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■ 【障がい者(障害者)就職・採用・転職コラム】

障害者福祉に、民間の力をどう生かすか? ~利益追求と福祉の目的を両立するために~

障害者の就労を支援した事業所に支給される加算金をめぐり、厚生労働省が、加算対象となる就職者数に上限を設ける方針を示しました。

 

 

背景にあるのは、大阪市の福祉事業者グループによる大規模な不正受給問題です。利用者をグループ企業などで形式的に働かせた後、再び事業所に戻す手法を繰り返していたとされています。

本来、このしくみは企業への就職と その後に一定条件の継続就労が認められた場合に支給される金額が加算される制度です。それが制度の趣旨から外れた形で利用されていたのであれば、見直しが必要なのは当然でしょう。ただ、ここで考えたいのは、不正を行った事業者だけの問題なのか、ということです。

*民間企業が利益を追求するのは当然
民間企業が利益を追求すること自体は、何も悪いことではありません。利益が得られるからこそ、新しい事業に参入し、設備や人材に投資し、事業を拡大できる。障害福祉の分野でも、民間企業の資金力やノウハウ、事業運営の力を生かすことには意味があります。問題は、「利益を生み出す仕組みと、障害福祉が本来目指すべき成果が一致しているか」ということです。

就職した人数に応じて報酬が増える制度であれば、事業者が就職者数を増やそうとするのは自然なことです。しかし、人数を増やすことが優先され、本人に合った仕事なのか、無理なく働き続けられるのか、能力や技能が身についているのか、といったことが蔑ろにされてしまったらどうでしょうか。 制度が評価する数字と、障害者にとって本当に必要な成果が、ずれてしまう可能性があります。

*最初から、何を優先するか決めておくべきだった。
障害福祉に民間企業の参入を認め、報酬や加算によって事業を支えるのであれば、最初から整えておくべき仕組みがあったのではないでしょうか。
それは、利益追求も認めながら、「利益より優先すべき目的と、守るべき基準を明確にすること」です。
例えば、就職者数や就労継続率だけでなく
・本人の希望に合った就職なのか
・実際にどのような仕事をしているのか
・職業能力の向上につながっているのか
・本人の意思が尊重されているのか
こうした項目を評価し、記録や報告を求め、実態を確認する。就職した人の数だけでは分からない問題を把握できるチェック体制も必要です。
もちろん、すべてを数値化することはできません。それでも、何を目標とし、何を守るべきかを曖昧にしたまま、事業者の自主性だけに委ねることは、不正や制度の趣旨から外れた運用を招くリスクがあります。

*民間の活力を生かす仕組みへ

今回の問題を受けて、加算対象人数に上限を設けることは、不正を防ぐための対策の一つになるでしょう。しかし、人数を制限するだけで、支援の質まで高まるとは限りません。必要なのは、不正を防ぐための規制だけではなく、障害のある人の成長や安定した就労を支える事業者が、きちんと評価される仕組みです。

民間企業の利益を否定するのではなく、その利益が障害者の利益にも結びつくようにする。成果を正しく評価し、問題があれば早期に発見し、改善を促す。そのような制度設計ができれば、民間の活力は障害福祉にとって大きな力になるはずです。

障害福祉に必要なのは、「利益を追求させないこと」ではありません。利益を追求しても、障害福祉の目的が置き去りにされない仕組みをつくることです。

今からでも遅くはない!

不正が起きたから規制を強める。それだけで終わらせず、民間の力を有効に活用しながら、障害のある人が働く機会と、その先の成長を守る制度へ。 今回の問題を、そんな転換のきっかけにしてほしいと思います。

 

 

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