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■ 【障がい者(障害者)就職・採用・転職コラム】

「障害を伝えると不利になる」~障害者雇用のもう一つの問題~

先日、日本財団の調査結果が報道されました。

[47NEWSの記事]

 

自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害や精神疾患の診断を受け、障害者手帳を持たない人のうち、76.5%が就職活動で診断結果を伝えた経験がないというものです。そして、障害を伝えなかった理由の66.4%が、「開示して不採用になったことがある、または不採用を危惧した」という回答でした。

これは、かなり重い数字だと思います。でも、「障害を伝えない」のは、本人の問題なのでしょうか。障害を伝えれば、必要な合理的配慮を受けられる可能性があります。一方で、「障害を伝えたら、採用で不利になるかもしれない」という不安もある。つまり、障害者にとっては、「開示したほうが働きやすい」でも、「開示すると採用され難くなるかもしれない」という矛盾した状況があります。

2007年から障害者の人材紹介に携わってきた経験でも、20年ほど前の企業からは、「精神障害者は人選対象から外してほしい。身体障害者だけ紹介してほしい」と言われることが普通にありました。その後、法定雇用率の達成には精神障害者の採用も必要になり、企業も精神障害者を選考するようになりました。

しかし、「法律で決められているから採用する」ことと、「障害の有無にかかわらず、能力や経験を見て採用する」ことは、同じではありません。その企業側の姿勢を、障害者自身が感じ取っていることが、今回の調査結果にも表れているのではないでしょうか。

「障害者求人には応募したくない」、「一般求人で応募したほうがいい」、「障害を開示すると不利になる」そう考えて、障害を伏せたまま就職する。そして、困っていても配慮を求められず、無理をして働く。もし、こうした状況が広がっているのであれば、これは障害者だけの問題ではありません。

厚生労働省は現在、法定雇用率を引き上げるだけでなく、「障害者雇用の質」を高めることも政策課題にしています。これは重要なことです。ただ、その前に考えるべきことがあります。

そもそも障害者が「障害を開示しても大丈夫」と思える採用・労働市場になっているのでしょうか?企業は「法律で決められているから仕方なく採用する」。障害者は「障害を伝えると不利になるから、できれば一般採用で働きたい」。この関係のまま、雇用人数を増やしても、障害者雇用の質はなかなか改善しないと思います。

必要なのは、「障害を開示しても不利益を受けない採用・労働市場」をつくることです。障害があることを伝えても、「では、あなたは何ができますか?」と、能力や経験を見て選考する。採用後は必要な配慮を行い、障害の有無に関係なく仕事の成果を正しく評価し、それに見合った報酬を支払う。そんな当たり前の働く現場を、企業も、障害者も、そして行政も目指すべきだと思います。

厚生労働省には、障害者雇用の「量」を増やす政策から、「障害を開示しても不利益を受けない採用・労働市場」をつくる政策へ、そろそろ、もう一段進んでほしいと思います。

 

 

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