■ 【障がい者(障害者)就職・採用・転職コラム】
障害者求人は過去最高。でも、本当に選択肢は増えたのか。
2026年6月、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)のハローワーク新規障害者求人・月間合計数は2,061件でした。2023年4月以降では、四半期初め(4月・7月・10月・1月の3か月毎のピーク)を除く月として初めて2,000件を超え、障害者求人市場は過去最高水準にあると思います。
さらに7月最初の営業日は、680件の新規求人が登録されました。2023年以降の7月初日は300~400件台で推移していただけに、この数字は明らかに異例です。
2026年7月1日から法定雇用率が引き上げられたため、その直前・直後に求人を登録した企業は多いと思います。その意味で、7月初日の急増には制度改正の影響が含まれていると考えるのが自然です。一方で、2026年度に入ってからは4月、5月、6月と継続して求人件数そのものが高い水準で推移しています。
つまり今回の急増は、「法定雇用率引上げによる一時的な増加」というより、「求人市場全体の拡大という流れの中で、制度改正が追い風になった結果」と考える方が、現時点ではデータとの整合性が高いように思います。もっとも、この増加が一時的なものなのか、本格的な需要拡大なのかは、7月・8月以降の推移を見て正しく判断できると思います。
しかし、求人の「質」はどうでしょうか。求人件数は確かに増えています。その中に「選べる仕事」も増えているとは言えない現実があります。実際には、下記のような求人が市場全体を押し上げている気がします。
*毎月、あるいは数か月おきに繰り返し掲載される求人
*最低賃金に近いパート・短時間勤務の求人
*人手不足が慢性化している職種の求人
*障害の有無にかかわらず、多くの人が積極的には希望しない業務の求人
この状況では、やりがいのある仕事や専門性を活かせる仕事を希望する障害者ほど、相対的に選択肢が少なく感じることになります。市場全体で求人件数は増えても、「働きたい仕事」の割合が増えなければ、求職者にとって実質的な選択肢は広がりません。
このような求人市場で重要なのは、求人を追いかけ続けることではなく、企業から「この人に来てほしい」と思われる存在になることだと思います。そのためには、次のような準備を整えておくことが良い就職につながり、結果として長く安心して働ける人生を得ることが出来ると思います。*「障害者枠だからできる仕事」を探すのではなく、「自分が企業に提供できる価値」を言語化する。
*応募社数を増やすことを目的にせず、一社ごとの理解を深め、自分との接点を明確にする。
*「何ができないか」だけでなく、「どのような環境であれば成果を出せるか」を具体的に伝えられるようにする。
*一つの求人票だけで判断せず、企業の事業内容や将来性、配属部署、キャリア形成まで含めて見極める。
アンプティパは、「求人件数が多いから、とにかく応募しましょう」という支援は行いません。「採用ニーズが高い会社です」と繰り返し掲載される求人へ応募を勧めても、本人にとっても企業にとっても良い結果にならないことを数多く見てきたからです。
アンプティパが目指しているのは、一人ひとりの経験や強みを丁寧に整理し、その人が「長く安定して働き、成長できる仕事」と出会うことです。
障害者求人は、これから更に増えるでしょう。しかし、本当に大切なのは求人件数ではなく、その中身です。そして求職者に必要なのも、応募件数を増やすことではありません。「この人と一緒に働きたい」と企業から思ってもらえること、自分自身の市場価値を高めることです。
それが、長く安心して働ける仕事に出会うための、一番の近道だと考えます。
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