■ 【障がい者（障害者）就職･採用･転職コラム】
ハローワークに新規登録された首都圏の障害者求人件数が、10月はコロナ禍以降では最多となる2,233件でした。コロナ禍でも10月は求人件数が増える月で、2021年は1,888件、2022年は1,993件と毎年増え続けており、求人が増える理由は「法定雇用率・未達成企業へハローワークが注意指導を開始」するためです。地域別に見ると、神奈川・埼玉・千葉も増加していますが、東京は単独で1,000件を超えており、「いよいよ本格的な障害者求人の増加が始まるのか？」と期待したくなりますが、アフターコロナの景気回復に加えて来年の法定雇用率UPに対する準備が始まったとは考えにくい、微妙なデータです。
微妙なデータの理由の一つは、毎月・月初の突出件数を2022年と2023年で、9月～11月を比較すると、首都圏（1都3県の合計数）では、9/1（2022年：471件、2023年：366件）、10/1（2022年：468件、2023年：412件）、11/1（2022年：439件、2023年：411件）と今年よりも昨年の方が件数が多いです。
毎月・月初の突出件数を就業場所：東京に絞って見ても、2022年と2023年で、9月～11月を比較すると、9/1（2022年：209件、2023年：188件）、10/1（2022年：233件、2023年：182件）、11/1（2022年：201件、2023年：195件）と、やはり9月以降の数字の動きは、今年よりも昨年の方がすべて多いです。
微妙なデータの二つ目の理由は、10月の東京の求人（全1,039件）の約6割がパート求人であることです。新年度に入った4月から9月まではパート求人の比率は徐々に減少する傾向でしたが、10月になると一気にパート求人が増加しており、とても景気回復とは言えない様相です。もっとも昨年・2022年も10月はパート求人が突出（62.5%）しており、2021年も9月：51.5%から10月：56.1%と増加しているので、これは毎年ハローワークの注意指導が始まると法定雇用率未達成企業がパート求人を多数登録することが繰り返されていると考えることもできます。
では、就業場所：東京の障害者求人・10月新規登録・全1,039件の中で、1社で多数の求人票を登録している会社を調べてみると、コンビニやドラッグストア、学校給食、物流、介護福祉の会社が目立ちます。
ここに抽出された1社で多数の求人票を登録している会社の求人の多くは、パートで作業・販売系です。つまりPCを使う仕事や事務などが苦手で、短時間勤務を希望する方々には大変な追い風が吹いている状況ですが、事務系でフルタイムを希望する方々には引き続き厳しい状況です。
ところで人手不足で困っている現場は、障害がある方々にとっては希望する配慮が欠けるなど働き難い現場であるケースが多いものですが、多数あるパート求人をザっと見ると「その現場で障害者が働いても大丈夫なのかな？」と思ってしまうことが多々あります。ということは、作業・販売系でパート勤務を希望する障害者にとって求人件数が多いという追い風は吹いていても、働く環境が整って無いリスクが高いことを考えると手放しに喜ぶことは出来ません。
結局のところ、10月に増える求人の多くがハローワークに注意指導され、嫌々作られた求人も多いことが問題であり、障害者求人の内容の悪化は年々酷くなっている気がします。顕在化している求人の全てがダメ求人とは言いませんが、パート勤務でもフルタイム勤務でも、障害を理解し適切な配慮をする会社で、安心して働くためには、求人票よりも会社や職場をしっかり確認し、良し悪しを見定めて応募・入社することが大事だと思います。 アンプティパ・大畑がサポートできる範囲は、ほぼ東京に限られますが、良い会社・職場を見定めるお手伝いを皆さんと一緒に行います。条件だけ良い会社には注意しましょう！
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