■ 【障がい者(障害者)就職・採用・転職コラム】
今回は、新しい業務を引き継ぐことになったけれど分からないことを前任者に質問しても回答が無く、何度か質問を重ねてやっと得た回答が「マニュアルを見て下さい」だけで困ったSさんのお話しです。
入社して半年未満のSさんは100%在宅勤務で限られた人としか接点が無いのですが、10月に引き継いだ業務は毎月定期的に行う業務と随時発生する業務が混在している少し複雑な仕事で、マニュアルを見ても分からないことが多く、毎月定期的に行う業務の最初の納期が迫っても前任者から連絡が無い状態が続いたために、Sさんは自分の上司に「業務の納期が迫っているけど、マニュアルを見ても分からないことが多く、前任者に尋ねても回答が無い」と相談しました。
Sさんの上司が前任者に連絡を入れると、「Sさんから頻繁に質問があるので、その対応で自分の業務が滞って困っている。」と逆にSさんへのクレームが前任者からあり、それを聞いたSさんの上司は「引き継いだ業務が出来ないことは問題。前任者への連絡は禁止。この業務は別の人に担当してもらう。」という判断をしたそうです。
Sさんは自分が上手く引継ぎが出来なかったことは自分のスキルや知識が不足していることが原因だと考え、ここで仕事を続けることは無理かも?と思い退職を考えたいと大畑へ連絡を下さいました。
Sさんから状況を伺った大畑は、前任者がSさんの質問を何度も無視していることや、やっと得た回答が「マニュアルを見て下さい」だけで前任者の業務を滞らせるほど対応して頂いてないことを上司は分かっているのか?とSさんに確認したところ「そういう状況であることは説明してある」とのことでした。
そこで、「この状況が改善できない場合は心身の調子を崩してまで働く必要は無いので退職することを指示する。でも、その前に大畑から人事部にこの状況を報告し、Sさんが退職したくなるほど困っていることを伝えたい、そして状況が改善するか見極めてから先々のことを改めて相談しましょう。」と大畑からSさんに提案し、了承を頂いて人事部に連絡をしました。
すると、すぐに人事部が動いて下さり、直接Sさんへ人事から連絡があり、改めてSさんは困っている状況を人事部にも報告し、どうしたら良いか相談をしたところ、前任者でなくてもその業務を知っているベテラン社員がいるので、その方から業務を教えて頂くことが出来るよう人事部がSさんにベテラン社員さんを紹介し、更にSさんの上司にも人事部が働きかけをしたことで、Sさんは引き続きこの業務を頑張ってみる、今はまだ退職しない、と気持ちをリセットすることができました
最初にSさんから辞めたくなるほど辛い状況を伺った時、大畑は人事部へ「前任者とSさんの上司が問題の原因に見えるけど、社内からこの状況を見たら別の見え方と原因があるかもしれません。しかし退職を考えているSさんの同意を得て、この状況を報告します。」と報告し、事実確認は人事部に任せたのですが、前任者と関わらずに仕事が出来るようになったことは良いとして、Sさんの上司が変わらないのは、Sさんにとって大丈夫なのか?と心配になりました。
そして、数日が経過したところで、大畑からSさんへ「今の上司との関係性は大丈夫ですか?」と伺ったところ、「事実ではない前任者の指摘を受け入れた上司ですが、勤務している以上は自分の上司との関係を悪化させないことも大事な自分の仕事です」と回答がありました。その時、ハッと気づいたことがありました。Sさんは辛く、苦しい状況を説明する時に、上司だけでなく前任者についても、彼らが原因で辛いとは全く言わず、分からないことが多い自分の知識不足、教えてもらえない状況を解決できない自分のスキル不足が辛いと、他責化することが一切ない説明をされていました。
今回、前任者とSさんの上司が変わってくれたら、手っ取り早い問題解決かも?と思って人事に相談し、前任者については丁寧に仕事を教えてくれそうなベテラン社員さんを人事部が紹介してくれることで半分解決と思っていました。しかし、100%在宅勤務で入社半年未満のSさんは社内人脈が少なく、困ったときに頼りになる良き先輩やベテラン社員さんとの繋がりを増やすことで自分が抱える問題を自分でも解決できる手段・ツテを増やせたことを喜ばれたうえで、上司の変更を望むのではなく関係悪化を防ぐことを考えると仰ったことは、安易に「大畑はSさんの味方、Sさんを苦しめること=問題は排除すれば良い」と考えてはいけないと、今更ながらですが気づいた瞬間でした。
もちろん、問題の人を排除することが最善の解決策という時もありますが、Sさんのように他責化しないでご自身を研鑽することで問題解決を希望されることもあります。だから、お客様の気持ち・言葉と真摯に向き合い、お客様が本当に望むことはどのような支援なのか?しっかり考えて、行動するアンプティパでありたいと改めて誓う出来事でした。
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